ある日、「子どもたちと一緒に厚木の歴史に触れる体験をしたい」と思い立ち、「古民家岸邸」を訪れることにしました。

厚木市の「古民家岸邸」とは?
岸邸は、1891年(明治24年)に建てられた木造2階建ての邸宅で、厚木市の有形文化財に指定されています。敷地面積約520坪という広大な空間には15室もの部屋があり、随所に当時の生活様式を色濃く残した、訪れるだけで歴史の重みを感じられるスポットです。

施設の周辺は静かな住宅街で、古民家の趣を引き立てる落ち着いた雰囲気が広がっています。緑豊かな散策路もあり、訪問後にはゆっくり自然を楽しむ時間を取るのもおすすめです。
古民家岸邸へのアクセスは、小田急線「本厚木駅」から神奈中バス「久保」バス停で下車し、徒歩約5分ほど。公共交通機関を利用しても気軽に訪れることができますが、今回は家族と車で訪問しました。現地には無料駐車場も用意されており、ドライブの計画にもぴったりです。
幻想的な空間で心癒されるひととき
門をくぐった瞬間から、ノスタルジックな気持ちに包まれる岸邸。黒塗りの木塀と立派な薬医門は、訪問者を別世界へ誘う入り口のようでした。

昔ながらの建築様式がそのまま残る、広々とした空間が広がります。畳の部屋や火鉢、ふすまといった今では珍しい設備は、子どもたちにとって新鮮な体験。
中でも圧巻だったのは、2階にある赤い窓ガラス。

西日が差し込むと、廊下全体が赤色に染まり、幻想的な舞台セットのような光景に変わります。この赤いガラス越しの景色は、言葉にできないほどうつくしく、まるでタイムスリップしたかのような感覚に陥りました。
幻想的な窓が織りなす和の魅力
広々とした畳の部屋に入ると、目を引いたのは壁際に設けられた特徴的な窓。

一見すると、日本の寺社で用いられていることの多い花頭窓(かとうまど)のような窓枠ですが、中国風・アールヌーボー風とも取れるモダンなデザインです。職人技が随所に感じられます。
そのうつくしい格子の造りややわらかな光が差し込む様子に、大人はもちろん子どもも興味津々。
息子はこの窓を見て「鬼滅の刃みたい!」とうれしそうに言っていました。畳の部屋や伝統的なデザインの窓は、アニメの中の世界に登場するような雰囲気があり、子どもの想像力をかき立てるようです。
1階では、広い座敷のガラス戸を開けて庭を眺めるのもおすすめ。

初夏には青々とした木々が風に揺れ、秋には紅葉がうつくしく色づきます。日本家屋ならではの「外とのつながり」を楽しむ時間は、心が安らぐひとときでした。
子連れでも安心!居心地の良さも魅力
日曜日に訪れたにも関わらず、館内はとても静かで落ち着いた雰囲気でした。子どもが走り回りたくなる広さではありますが、重要な文化財であるため走るのは厳禁です。

ふすまや火鉢など、普段の生活では触れる機会のないものを見て感じる体験は、子どもたちの好奇心を満たしてくれたようです。特に管理人さんが親切で、子どもにも優しく接してくださり、気兼ねなく楽しむことができました。

岸邸の入場料は、なんと無料。
これだけ貴重な建物でありながら無料で楽しめるというのは驚きです。
古民家岸邸は、厚木市の隠れた宝とも言える場所です。
広大な敷地と歴史ある建物の中で、職人の技や昔の暮らしを肌で感じることができます。特に子どもたちにとって、普段触れることのない日本建築の世界を体験できることは大きな刺激になるはず。
家族みんなで歴史や文化について学ぶ時間を過ごす、おすすめのスポットです。
幻想的な空間と情緒ある景色、そして不思議とゆっくりとした空気が流れる時間…家族の記憶に残るすばらしいひとときでした。

次回は、夕方の西日がうつくしく差し込む時間帯を狙って再訪したいと思います。
訪れるたびに新たな発見がある、そんな特別な場所「古民家岸邸」。厚木市を訪れる際にはぜひ足を運んでみてください。
厚木市古民家岸邸
住所:神奈川県厚木市上荻野792-2
アクセス:小田急小田原線「本厚木駅」北口1番バス乗り場から「上荻野車庫」「半原」行き約24分、「久保」停留所を下車して徒歩約3分(190m)
TEL:046-225-2515(あつぎ郷土博物館)
営業時間:4月~9月:10:00-17:00(最終入館 16:30)
10月~3月:10:00-15:00(最終入館 14:30)
定休日:月曜日・火曜日(祝日の場合は翌日休み)
入館料:無料
駐車場:あり(普通車5台)※無料